設立趣意書
徳島には人形浄瑠璃と阿波踊りという世界に誇る文化があります。これらは江戸時代以来、市井に生きる人々が育んできた文化でした。そして今、徳島の文化にオペラが加わろうとしています。
オペラは16世紀末にイタリアで興った歌劇です。ちょうど人形浄瑠璃や阿波踊りと同じ頃に生まれ、市井の人々によって芸術として、そして娯楽として親しまれてきた文化です。
2016年に徳島市でオペラ公演が行われたことを契機に、阿波踊りの「参加して楽しむ」という精神が加わることで、市民が合唱として参加するという、新たなオペラの楽しみ方が生まれました。以来8年、年を重ねるごとに合唱に加わる人の数も増え、まさにオペラが徳島の文化として根付こうとしています。
そこで、徳島のオペラ文化を推進し、さらに徳島を日本のオペラ文化の一大発信地とするべく、本格的なオペラハウスを建設することといたします。
オペラの本場であるイタリアやドイツの伝統的なオペラハウスは、百年を超えた今も町のシンボルとして愛されています。市民が愛し、誇りとし、その場所でオペラを観ることが楽しみとなり、交流の場となるようなオペラハウスを、私たち市民の手で徳島に造ります。
今日、大都市に人口や経済活動が集中することに伴い、地方の人口流出と経済・社会の持続性の低下が大きな課題となっています。たしかに人口や経済においては、大都市と地方には大きな隔たりがあります。しかし、文化においては、世界で最高のものがある場所こそが、世界の中心となり、発信地となります。
オペラハウスの観点から日本を見ると、各地にオペラを上演することができる音楽ホールは数多くありますが、オペラに焦点を絞り、オペラのために建てられた劇場はまだありません。日本で唯一、世界でも有数のオペラハウスを徳島に設けることで、徳島はオペラという文化においては中心となることができます。
私たちは「徳島オペラハウス」で徳島ならではのオペラ文化を創り、徳島を文化の中心地として盛り上げ、人々を元気にするとともに徳島の経済や社会の活性化に寄与いたします。